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アートが街を変える 「春山登山展」その5(完)

さて。


ここまでのとてもアットホームな雰囲気から一転、最後の会場は厳粛な建物です。
県政記念館。旧新潟県議会議事堂です。

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・・・夜には何かが出るかもしれません。


小倉敏幸さんの作品は、カラフルで生命力にあふれたもの。
原画とスライドの組み合わせで展示しています。

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描くよろこび、があふれてこぼれそうです。


力石哲郎さんはポップなイラストで、県議会議事堂の古い部屋とのアンマッチがおもしろい。

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tomizouさん・・・は富田造園の略らしい。
植物を使ったインスタレーション。会場は知事室です。
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部屋の重厚な雰囲気に合わせた作品で、何十年も放置されていた部屋に入るような感覚になります。
植物という生きた素材を使っているのに、死の雰囲気を感じる不思議な魅力にあふれた空間。
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人々が死に絶えたその後に、木々は青々と葉を広げる


近藤実可子さんの布を使った作品も、部屋に合ったロマンチックな雰囲気。
何か美しい物語が起きる予感。
きっと夜になると、刺繍の天使が布を離れ、部屋の中をパタパタと飛んでいるに違いない。
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内藤雅子さんは、2点の写真の展示と、作品集、というシンプルな構成。
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現在の人や花を撮った写真ですが、あの会場の部屋では、過ぎた時代の古い懐かしい写真を見ているような気分になって、鼻の奥の方がツン、となります。



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窓の外は桜の樹。
僕が行った日は、桜はまだでしたが、今週末あたりは見ごろじゃないでしょうか。

県政記念館へ、上古町へ、春山登山展へ行ってみてはいかがでしょうか。
楽しい、のんびりした、親密な空気が流れる場です。





アートが街を変える 「春山登山展」その4

あ・・・・。



のんびり更新していたら、「春山登山」ももう会期終盤ですね。
まあ、「のんびり」は春山登山の雰囲気に合ったキーワードだし・・などと言いわけしながら、今日は残りの会場の作品の紹介を。


金巻屋さんは、上古町地区にある立派な店構えの和菓子屋さん。
創業なんと明治4年。
ここではヒッコリーのメンバーの遠藤在さんの作品が展示されています。

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遠藤さんの作品は、この歴史ある空間に対して、絵具が紙に触れる瞬間をテーマにした作品。
歴史と瞬間、というおもしろい対比となっています。

作品のまわりは通常営業中で、和菓子を作る際につくる木型なども展示中。
伝統の空間に、現代アートを持ち込んだ楽しさが効果を生んでいます。


歴史のある、といえば昭和の雰囲気の漂う懐かしい店構えの中華料理店「桜蘭」も春山登山展の会場。
ここでは、ヒッコリーの代表でもある迫一成さんの作品が展示・・・・・・というか隠されています。

テーブルの灰皿の横にこっそり置いてあるのも、作品です。
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床の間の置物にもよく見ると・・。
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これは確か糸を巻いてあった芯を素材にしたもので、そのマテリアルにはいろいろな意図が込められているのですが・・。
げ、芸術というよりいたずらですね。・・ふふふ。


ちなみに、道すがらの波多野時計店の店頭の一角でも展示が行われています。
ショーウインドウの中に、ちびっちゃいやつらが・・・。

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・・・というなんだか、よく見えない写真を残して次回に続きます。

アートが街を変える 「春山登山展」その3

春山登山のイベントは、新潟市の歴史のある町「上古町」地区各所で行われています。

細野医院はヒッコリーのお店から徒歩40秒くらいの場所にあり、数年前まで実際に病院として開業していた建物が会場。
診察室やレントゲン室で展示が行われます。

入り口ではヒッコリーのメンバーでもある小出真吾さんの作品がお出迎え。
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写真がモアレっぽくなってしまうのですが、美しいテキスタイルのような幾何学模様をつくるメディアアート。
病院の会場に合った、有機的なような科学的なようなおもしろい効果を生んでいます。

大方美穂さんの作品はポップな壁。
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古い病院の建物が、鮮やかに印象を変えます。


スズキサトさんの作品はすごろく。
あまり波乱万丈ではなさそうな人生ゲーム。
ぽっぽ焼食べてパワーアップ、とかそんなマスがある。
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早くゴールできても、できなくてもまあいいや、という感じ。


諏訪賢史さんは写真を小さな木箱に収めて展示した作品。
新潟の風景を撮っているのだが、見慣れた風景もドラマチック。
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青く冷たい空気の感じられる写真です。


ホサカタカシさんの作品は、レントゲン室が会場。
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絵が作品というよりは、少し灯りを落とした部屋を活用した、ちょっと神秘的なインスタレーション。


ワタナベメイさんの作品は、診察デスクに展示されています。
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増殖していくパーツ、というコンセプトが、病院という場にマッチしています。
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あんもさんの絵は、子どもが描いたようなイノセントなタッチ。
たくさんの動物と風景が登場し、物語を秘めた絵です。
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あんもさん自身のつづった物語も掲示されているが、自分でオリジナルの物語を考えながら見るのも楽しいかもしれません。





アートが街を変える 「春山登山展」その2  

ヒッコリースリートラベラーズのアートイベント「春山登山」は、ヒッコリーのお店の2階の会場からスタート。
ヒッコリーは「enjoy nichijo(日常を楽しもう)」をテーマにして、生活をちょっと愉快にするような服や雑貨を扱っています。
僕も時々利用していて、東京や大阪の友人にチャーミングな雑貨を送ると、評判がいいです。
贈った僕も鼻が高い。
みんなもぜひヒッコリーで買い物するといいですよ。(無償の宣伝)


この会場では5名の作家の作品が展示されています。

高橋徹さんはバルーンを素材にしたインスタレーション。
誰もが楽しくなる祝祭的な空間を作っています。
暗闇と光と風船なんて、子どもの心が沸き立つ組み合わせじゃあないですか。

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そういえば、春山登山のイベントのキャッチコピーは、「新潟の春がもっとたのしくなりますように」でしたね。


祭太郎さんは、木彫の仏像とラフな絵を組み合わせたもの。
仏像もラフに彫ってあって、なんだかユーモラス。

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意味ありげ、だけどあまり意味を追求せずに見るのが正しい見方、と見た。


藤井芳則さんの作品は、なんだか怪しげな部屋。
一見、ただの若者の一人暮らしの部屋のようだが、置かれているインテリアはちょっと不思議なオブジェだったりします。
これまでにさまざまなアートイベントに出展した作品が散りばめれているそうです。
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作品のタイトルは「1人ぐらしはアリエッテー」。
・・そのダジャレについては、何も言わない。


沖縄から招待された豊永盛人さんは、張子の人形や、オリジナルのカルタなど、玩具の展示を行っています。
これが人を食ったようなものばかりで、見ていて笑いが止まりません。
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「世界メルヘンかるた」は有名な童話をモチーフにしたカルタなのですが、なんだかオフビート。
たとえば桃太郎は文字の札が「宴会中、誰か入ってきた」という言葉で、絵は鬼たちが酒盛りしている横にぽつねんと立つ桃太郎一行。クスクス笑うしかない。
会場では原画となるガラス絵が展示されています。

ヒッコリーのお店ではそのカルタも販売してるのですが、大好評でみんな買ってました。
僕も買いました。

そして初日は豊永さんが張子の絵付けのワークショップをやっていました。
僕も参加して、できたのがこいつです。
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才能というのは偏在するから才能なのであって、才能のある人もいれば、ない人もいるのですよ。


野中春花さんは、大きな吹き出しと、壁一面に貼ったカードで、メッセージを伝えています。
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そのメッセージは優しく、世界を少し温かくするものです。
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アートが街を変える 「春山登山展」(新潟市上古町地区)

近代以前のアート作品の多くは王や貴族が所有していました。
彼らはなぜ、絵や陶器を求めたのでしょう?
それは・・・王や貴族自身が、美しい絵や陶器が欲しかったからです。

「う〜ん、余はアレが欲しい」
「はっ、かしこまりました」
「・・全部欲しい」
「仰せのとおりに」
「・・・ついでに作家ごと連れてきちゃいな」
・・・世界はシンプルで、少し乱暴でした。


近代以後は多くの公共施設(美術館や博物館)が、アート作品を所有するようになりました。
なぜでしょうか?
美術館が絵を欲しがるから?博物館の学芸員が陶器を所有したがるから?
そうではない、と思います。
国民や市民である私たちが、社会がアートを求めたのです。

アートがなくても人は生きていけます。
アートがなくても私たちは倒れたりしません。
でもアートがある生活はアートのない生活よりずっと素晴らしい、アートのない社会は暗くみじめだ、ということを多くの人が分かっているのです。

アートの趣味がない人であっても、アートの貧弱な国よりは、アート環境の豊かな国に住みたいと思うはずです。
自分自身はアートがなくても平気だけれど、子どもにはアートのある町で育ってほしい、と考える人はいます。
アートのある街、アートのある社会、を私たちは求めているのです。
だから私たちは、お互いに出し合った税金の中からいくばくかを、美術館の建設や運営のために使うのです。

   ◆

丸の内では三菱地所が、日本橋では三井不動産が、アートを重要なアイテムとした街づくりを行っています。
この両地区では、街路のあちこちに現代美術の彫刻作品があり、アートイベントが頻繁に行われています。

おかげでこの数年で、両地区のイメージは変容しつつあります。
古い活気のない街が、ハイセンスな街として生まれ変わっているのです。

三菱や三井はアートによって、フレッシュでセンスのいい街のイメージをつくり、街全体の価値を高めようとしています。
隣接する八重洲や神田とは異なる空間をつくり、お金を持った人々を呼び込み、そして高いテナントの賃料に反映させることを狙っているのです。

   ◆

人々はアートを求める。
アートは街の価値を高める。

   ◆

新潟市のオシャレな雑貨店であり、デザイナー集団でもあるhickory03travellersが主宰するアートイベント「春山登山」が今年も開催中です。
去年も書いたけれど、これがとてもピースフルで楽しいイベントなのです。

(昨年の春山登山レポート)
http://cuccino.blog104.fc2.com/blog-entry-117.html

春山登山2012 013

新潟市の中心部の古い商店街「上古町」地区を中心に6会場で18名の作家が、アート作品を展示しています。
おしゃれ雑貨屋でもあるヒッコリーのお店、元病院だった古い建物、近所の時計店の店先や中華料理店の二階、伝統の和菓子屋の一角など、商店街での展示は、親密な感じ。
もうひとつの会場の「県政記念館」は、元県会議事堂であった明治期の立派な建物。天井の高い古い部屋にアート作品が並ぶと、不思議な雰囲気。

作品のレベルはまちまちで、まあ玉石混交です。
でもどの作家も楽しげで、見ている僕らにとっても肩肘のはらない、愉快なイベントとなっています。

このチャーミングなイベントが、上古町という歴史のある街のイメージを変容させようとしています。
また、新潟では限られる(ゆえに求められている)コンテンポラリー・アートを、発表/鑑賞する場を作り出しています。
公共の美術館が税金で行っていることや、三井や三菱が巨大資本を投下して狙っていることを、ヒッコリーは口笛を吹きながら軽やかにやろうとしているように見えます。

ヒッコリーという小さな船が、タグボートのように新潟の町やアートシーンを牽引しているのです。


(個々の作品の紹介については、次回へ続きます!)



春山登山
会場:古町3番町とか (←これが公式表記・・・ふふん)
会期:2012年4月23日まで



これが何かは、今は言えない。
春山登山2012 086

Appendix

プロフィール

Author:cuccino
Cuccino(クッチーノ)
イタリア人に生まれたかったけれど日本人。国境の長いトンネルを抜けて、現在は新潟在住。現代美術ファン。描いたり彫ったり造ったりはしない・・・というかできない。
◆メールアドレス 
andare.cuccinoアットマークgmail.com
◆Twitter
http://twitter.com/susumuyukino#
ツイッターで短歌書いています。

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