近代以前のアート作品の多くは王や貴族が所有していました。
彼らはなぜ、絵や陶器を求めたのでしょう?
それは・・・王や貴族自身が、美しい絵や陶器が欲しかったからです。
「う〜ん、余はアレが欲しい」
「はっ、かしこまりました」
「・・全部欲しい」
「仰せのとおりに」
「・・・ついでに作家ごと連れてきちゃいな」
・・・世界はシンプルで、少し乱暴でした。
近代以後は多くの公共施設(美術館や博物館)が、アート作品を所有するようになりました。
なぜでしょうか?
美術館が絵を欲しがるから?博物館の学芸員が陶器を所有したがるから?
そうではない、と思います。
国民や市民である私たちが、社会がアートを求めたのです。
アートがなくても人は生きていけます。
アートがなくても私たちは倒れたりしません。
でもアートがある生活はアートのない生活よりずっと素晴らしい、アートのない社会は暗くみじめだ、ということを多くの人が分かっているのです。
アートの趣味がない人であっても、アートの貧弱な国よりは、アート環境の豊かな国に住みたいと思うはずです。
自分自身はアートがなくても平気だけれど、子どもにはアートのある町で育ってほしい、と考える人はいます。
アートのある街、アートのある社会、を私たちは求めているのです。
だから私たちは、お互いに出し合った税金の中からいくばくかを、美術館の建設や運営のために使うのです。
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丸の内では三菱地所が、日本橋では三井不動産が、アートを重要なアイテムとした街づくりを行っています。
この両地区では、街路のあちこちに現代美術の彫刻作品があり、アートイベントが頻繁に行われています。
おかげでこの数年で、両地区のイメージは変容しつつあります。
古い活気のない街が、ハイセンスな街として生まれ変わっているのです。
三菱や三井はアートによって、フレッシュでセンスのいい街のイメージをつくり、街全体の価値を高めようとしています。
隣接する八重洲や神田とは異なる空間をつくり、お金を持った人々を呼び込み、そして高いテナントの賃料に反映させることを狙っているのです。
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人々はアートを求める。
アートは街の価値を高める。
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新潟市のオシャレな雑貨店であり、デザイナー集団でもあるhickory03travellersが主宰するアートイベント「春山登山」が今年も開催中です。
去年も書いたけれど、これがとてもピースフルで楽しいイベントなのです。
(昨年の春山登山レポート)
http://cuccino.blog104.fc2.com/blog-entry-117.html
新潟市の中心部の古い商店街「上古町」地区を中心に6会場で18名の作家が、アート作品を展示しています。
おしゃれ雑貨屋でもあるヒッコリーのお店、元病院だった古い建物、近所の時計店の店先や中華料理店の二階、伝統の和菓子屋の一角など、商店街での展示は、親密な感じ。
もうひとつの会場の「県政記念館」は、元県会議事堂であった明治期の立派な建物。天井の高い古い部屋にアート作品が並ぶと、不思議な雰囲気。
作品のレベルはまちまちで、まあ玉石混交です。
でもどの作家も楽しげで、見ている僕らにとっても肩肘のはらない、愉快なイベントとなっています。
このチャーミングなイベントが、上古町という歴史のある街のイメージを変容させようとしています。
また、新潟では限られる(ゆえに求められている)コンテンポラリー・アートを、発表/鑑賞する場を作り出しています。
公共の美術館が税金で行っていることや、三井や三菱が巨大資本を投下して狙っていることを、ヒッコリーは口笛を吹きながら軽やかにやろうとしているように見えます。
ヒッコリーという小さな船が、タグボートのように新潟の町やアートシーンを牽引しているのです。
(個々の作品の紹介については、次回へ続きます!)
春山登山
会場:古町3番町とか (←これが公式表記・・・ふふん)
会期:2012年4月23日まで
これが何かは、今は言えない。